【7月 大学受験通信 】
模試の自己採点と復習

はじめに.

 いよいよ、1学期の期末考査が終了して、夏休みに入ろうとしています。高校3年生にとっては、入試の結果を大きく左右する「勝負の夏」になりますね。後悔することがないように、全力でやり抜いてください。
高校3年生でなくても、2年生や1年生もこの夏休みを無駄にしないようにしてください。夏休みには、英語と数学を中心に既習範囲の復習をしっかりと行いましょう。大学受験に向けて、いざ受験勉強を始めようとスタートした時、基礎となる知識があるのかないのかでは大きな差が生まれてしまいます。

 さて、本稿では高校生の皆さんが「知っていそうで意外と知らない」「わかっていながら実はできていない」ことについて紹介してみたいと考え、筆を執りました。本稿でこれから紹介することは、受験勉強を進めてゆく高校3年生にとってはとても重要な考え方であるのはもちろんのこと、2年生や1年生も是非この考え方を早いうちから知ってもらいたいのです。

 本稿でテーマとして取り上げたいのが「模試」の取り扱い方です。皆さんは受験した模試を受験後、成績表が手元に届くまでどのように過ごしているでしょうか。「結果が届くまで、特に何もしていない」という人がいるならば、必ず目を通してくださいね。

模試の自己採点と復習.

模試直しはしていますか?

 通学している学校によって差異は生じると考えますが、高校3年生になると定期考査以外にも、大手予備校等が主催する外部模擬試験(以下「模試」と表記)を受験する機会が増えたのではないでしょうか。学校で受験する機会が多いものはベネッセ主催の模試であると考えますが、この他にも大学受験予備校である河合塾や駿台、または東進が主催する模試が主に実施されています。学校であらかじめスケジューリングされている模試もあれば、希望者だけが申し込みを行い受験する模試もあります。

大学を目指すのであれば、こうした模試は積極的に受験してゆきましょう。模試を受験することによって「入試形式の問題に慣れることが出来る」ことはもちろんのこと、返却される成績表が「今の自分と志望校との実力差」を測るうえで非常に重要な目印となる資料となります。さらに、こうした模試を受験する時に重要なことは「模試直し」をすることです。模試直しとは、その言葉の通り受験した模試の問題を振り返ることです。しかしながら、この模試直しのやり方を意外と高校生の皆さんが知らないという話を耳にします。そこで、高校生が意外と知らない模試直しのやり方について、本稿では紹介してゆきたいと考えます。

① まずは自己採点をしましょう

 模試を受験したあと、成績表が手元に届くまで「放置」してしまっている人はいないでしょうか。模試を受験する意義の一つには「自分がどの範囲が出来ていて、どの範囲が出来ていないのか」を知るためであることが言えます。せっかくの弱点把握の機会にも関わらず、模試を受験してから成績表が届くまで放置してしまっては、その意義が薄れてしまいます。成績表が届くのは1ヶ月先なのですから、成績表が返ってくるころには時間も経ってしまっており、復習をする効果も少なくなってしまっているでしょう。

 「鉄は熱いうちに打て」です。模試を受験したらその当日、少なくとも翌日までには自己採点を行うようにしてください。特にマーク式の模試は、択一式の試験ですから自分の解答さえしっかりと控えておけば、容易に採点することが出来ます。また、マーク式の試験での自己採点には、是非とも慣れておいて欲しいのです。

 なぜならば、大学受験で一般選抜を受験するとなると、ほぼ確実に大学入試共通テスト(以下「共通テスト」と表記)を受験することになります。共通テストでは、申請をすれば得点開示をしてもらえますが、これは受験が終わった後の話で、すぐに自分の得点を知ることが出来ません。つまり、共通テストの受験をしたら、自分の得点を知るためには自己採点をするしか方法はないのです。そのため、国公立大学の2次試験や私立大学の共通テスト利用入試といった、共通テストの結果を踏まえた上で出願するかを決める入試方式では、自己採点の結果をもとにして出願の可否を判断することになります

すなわち、マーク式の模試(高校3年生では「共通テスト模試」などと称されている)を受験することで、マーク式試験の形式に慣れるだけではなく、自己採点を正確に行うための練習もすることになります。ゆえに、模試を受験した後に自己採点をすることは、自ずと共通テスト受験後に必要な処理を行う訓練をすることにつながっているのです。

② 正解の問題を仕分けよう

 自己採点をしたら点数を出すだけではなく、今度は模試直しに向けての準備を行います。何をするかと言うと、正解した問題に目を向けてもらい、仕分けをしてほしいのです。具体的にお話しすると、不正解の問題は知識不足または理解不十分によるものであることがわかりますが、正解した問題は結果だけでは全てがしっかりと知識・理解が得られたもとで解けたのかが判断することが出来ません。そのため、正解している問題については、知識・理解が得られたもとで正解しているのか、知識・理解はあいまいだが「たまたま」正解した問題なのかを区別して欲しいのです。そして、たまたま正解した問題に関しては「要復習」としてください

 「勝てば官軍」という言葉がある通り、正解を解答すれば事実上得点や偏差値には反映されることになりますが、これが許されるのは入試本番の時のみです。模試はある意味「練習試合」なのですから、たまたま上手くいったからと言って放置してしまっては、結果的に自分の身に入らないことになってしまいます。そのため、例え正解した問題であったとしても、もし自分の知識・理解があいまいな場合にはしっかりと復習対象としなければなりません

 この正解した問題の仕分け作業は、自己採点時では判断できないという人もいるかも知れません。余裕があればの話にはなりますが、模試を受験した際に解いていて自分の知識・理解があいまいであると感じた問題には、あらかじめ印をつけておくなどしておくと、模試直しの時に役に立つでしょう。自己採点や模試直しが行いやすいように、先を見越して行動することもスムーズに模試の後処理を行うにあたって重要なピースになりますよ。

③ 復習する問題の優先順位は?

 ここまでの処理を完了したら、実際に模試直しをして受験した模試を復習してゆきます。ここで問題になるのが、「全ての問題を解き直す必要があるのか?」という点です。通学する高校によっては、「間違えた問題を全て解き直して提出しなさい」といった模試直しの課題が出されている場合がありますが、こうした場合においては学校の指示に従ってください。そうでない場合や自主的に模試直しをするのであれば、必ずしも間違えた問題の全てを解き直す必要はありません。

 では、どの問題を必ず復習しなければならないのかをお話しします。まずは、「解き直すべき問題」と「解き直さなくても大丈夫な問題」を選別しましょう。その方法として「出来た問題or出来ない問題」と「得意or不得意」のワードで掛け算をする方法を紹介します。このワードで掛け算をすると、「①出来た・得意」「②出来た・不得意」「③出来ない・得意」「④出来ない・不得意」の4つのパターンに分類することが出来ます。

 では、この4パターンをどのように分類して処理してゆけば良いのか考えてみましょう。一番簡単なのが「①得意・出来た」です。これは、しっかりと解けているうえ正解もしているので、ちょっとした確認作業をすれば問題ないと考えます。続けて「②出来た・不得意」ですが、こちらは解き直し対象になります。なぜならば、解けてはいるものの苦手意識があるためで、こちらを関連知識も含めてしっかりと復習をすれば、知識が定着するだけではなく新たな得点源としても期待できる単元になり得るからです。そして、「③出来ない・得意」も解き直し対象になります。せっかく得意意識を持っているのにも関わらず、不正解では非常にもったいないですからね。得意意識を持っているのであれば、解き直しをするにもあまり抵抗感なく取り組めると考えられますので、この機会にしっかりと理解し、知識として定着させておきましょう

 そして、一番判断に悩むのが「④出来ない・不得意」の問題です。この問題が最も解き直しをするべきか否かを判断しかねる問題になります。これに分類された問題は、実際に問題と模範解答を見比べて、解けそうなのか解けなそうなのかを判断してください。解けそうであると判断したならば、もちろん解き直しをしましょう。しかし、解けなそうであると判断したならば、その問題は無理に解き直しをする必要はないと考えます。なぜならば、不正解のうえに苦手意識もあり、さらに模範解答を見ても解ける見込みがないということは、あなたにとってその問題は「今の実力からは手を出すことが出来ない問題」であり、「これから時間をかけて、克服してゆくべき課題」だからです。模試直しという、短時間で解決できる問題ではないと考えますので、厳しいと判断をしたならばこの段階では解き直しをすることは控えてもよいと考えます。むしろ、無理に取り組むことによって本来取り組むべき問題に取り組むことが出来ないといった状況になってしまったり、過度に自信を失ってしまったりと、悪循環に陥ってしまうことすら考えられます。そのため、現段階では無理に取り組むべき問題と判断せず、中・長期的な視野をもって解決すべき課題と捉えて、克服できるように以降の学習計画を立ててゆくことをおススメします。  このように、模試直しを実際に行う際には取り組むべき問題と、解くことを見送るべき問題の2種類が存在することを覚えておいてください。もちろんですが、全ての問題の解き直しを行うことが理想であることは前提です。しかし、ひとつ判断を間違えてしまうと、貴重な時間を無駄にしてしまうだけではなく、自信すら無くしてしまう可能性があることから、こうした判断基準について紹介させてもらいました。以上の判断基準を参考に、模試直しを効率よく最も成果が出るように、しっかりと取り組んでもらえたらと考えます。

おわりに.

 本稿では、高校生の皆さんが意外と知らないトピックスとして「模試の自己採点と模試直し」についてスポットを当てて解説してきました。では、模試を受験するにあたっての留意点をもう一度おさらいしておきましょう。

  1. 模試を受験する際には、自分の解答を問題用紙に控えておき、自己採点が出来る状態にしておく。

⇒可能ならば、知識・理解があいまいな問題には印をつけておくと良い。

  1. 模試が終わった当日、遅くとも翌日に自己採点を行う。

⇒自己採点を行ったら正解した問題の仕分けをやり、知識・理解があいまいなものは模試直しの対象として控えておく。

  1. 少なくとも1週間以内には模試直しを行い、知識・理解があいまいな問題に関してはしっかりと頭に定着させておく。

⇒模範解答を見ても、どうしても解けない問題については、長期的な自分の課題として設定し、その場で無理に解き切ろうとしない。

 以上になります。繰り返しになりますが、模試を受験する意義はたくさんありますが、この中でも最も重要な意義の一つが「自分が出来ているものと出来ていないものを把握する」ことです。このことを把握することによって、自分の足りていないものを理解し、今後の受験勉強に役立ててゆくことがとても重要なのです。受験までの時間は限られているのですから、少しでも勉強時間を有効なものにするために必要なのが模試を受験すること、そして自己採点・模試直しをして弱点把握・解決へ舵を取ってゆくことです。本稿によって、少しでも高校生の皆さんが模試に対する考え方を知ってもらえたら、嬉しい限りです。

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