【1月 大学受験通信(2) 】 ~国公立大学の入試方式解説~

はじめに.

 2023年が始まり、高校2年生にとって来年の大学入試(一般選抜)まで1年を切ろうとしています。一般選抜は1月中旬に行われる大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)を皮切りに始まり、国公立大学を受験するとなると最大3月中旬まで、約2カ月の戦いとなります。志望校がすでに決まっている人、また決まっていない人は様々と推察します。しかしながら、何事も始めるのに「早すぎる」ことはありません。早いうちからの受験勉強スタートが、成功のカギとなることは言うまでもないことです

 さて、志望校を決めるにあたって「やはり国立大学を目指したい!」という希望を聞くことが多いです。東京大学・一橋大学・東京工業大学といった超難関国立大学から、地元の埼玉大学・埼玉県立大学など身近なところまで、国公立大学は設立されています。ところで、皆さんは国公立大学の入試方式をどこまでご存知でしょうか。国公立大学の入試方式は、長丁場で負担の多いものになっており、勝ち抜くためには強い精神力が必要なものなのです。  

 本稿では、国公立大学の入試方式について解説してゆきたいと考えております。国公立大学に興味がある受験生になる皆さん、是非一度目を通してみてください。

国公立大学の入試方式とは

(1) 国公立大学の入試概要と共通テスト概要

❶ 入試方式概要

 国公立大学の入試方式の大きな特徴は、一次試験としての役割を果たしている共通テストの得点と、2月の後半から3月の前半に実施される二次試験(個別学力検査)の合計得点で合否判定が行われることが基本である点です。そのため、国公立大学の志望者は共通テストの受験が原則必須となります。共通テストでは即時の得点発表は行われないため、国公立大学志望者は自己採点の結果をもとに合格可能性などを検討し、出願をする必要があります。

 国公立大学の二次試験の出願は、共通テストの約1週間後から始まり、2月上旬に締め切られます。このことから、受験生は共通テストの自己採点の結果を鑑みて、志望大学に出願するか否かを決定する必要があるのです。共通テストの自己採点結果によって、合格基準に満たすためにはどれだけ二次試験で得点をしなければならないのかの予想を立てることができます。仮に共通テストの結果が振るわず、二次試験でよほどの高得点を取らない限り合格基準に満たないと判明した場合には、出願校を変更しなければならないといった事態も生じるのです。

 国公立大学の個別試験である二次試験は、私立大学の個別試験が落ち着いた2月の下旬より実施されます。二次試験は原則「前期日程」「後期日程」の2つの日程で実施され、受験生は前期・後期それぞれ1校ずつ出願することが可能です。また、一部の公立大学においては「中期日程」を設けている大学もあることから、国公立大学は1人につき最大で3校の受験機会があると考えてください。

 二次試験へ出願するにあたっての注意点は、「前期日程」で合格すると、その後実施される「中期日程」「後期日程」では合否判定対象外となってしまう点です。そのため、「前期日程」で合格したが「後期日程」の結果を踏まえたうえで入学手続きをする、といったことは許されません。すなわち、受験生は第1志望を「前期日程」で受験することが求められるのです。

 こちらに裏付けられるように、国公立大学全体の「前期日程」と「後期日程」の募集人員の割合は「8:2」となっており、圧倒的に「前期日程」の割合が高くなっています。大学によっては、「後期日程」の募集がない場合もあるため、実質的に「前期日程」が勝負の場と考えてください。

共通テスト概要

 共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語の5教科30科目で構成されており、この中から最大8科目(理科①を選択した場合は9科目)を受験することが可能となっています。そのため、受験生は志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。なお、外国語の「英語」の受験者は、「リーディング」と「リスニング」の受験が必須となっており、「リーディング」と「リスニング」の配点はそれぞれ100点で、配点比率は1:1で採点されます。しかしながら、選抜時に各大学が共通テストの成績を利用する際は、各大学が配点比率を自由に決めることができるため、「リーディング:リスニング」の比率をそのまま「1:1」で利用する大学のほか、「4:1」「3:1」に変更して選抜を行う大学もあるなど、大学によって配点が異なっているので事前の確認が必要です。  ここで、共通テストの出題教科・科目を一覧にしたものを掲載しますので、ご確認ください。

さて、理科は少々科目選択方法が複雑で、特に注意が必要な教科です。受験科目は共通テスト当日に問題を見てから決めることが可能ですが、A~Dのどのパターンで受験するかについては出願時に申請する必要があります(選択方法は上記表を参考にしてください)。国公立大学の理系学部では、理科①(基礎科目)を認める大学はほとんど見られないだけではなく、理科を2科目必要とする大学も多いため、国公立大学の理系学部を志望するならDパターン、つまり理科②を2科目選択しておくべきです。一方、国公立大学文系学部では、「理科①から2科目」または「理科から②1科目」で受験できる大学がほとんどであるため、基礎科目だけでも受験が可能となります(詳細は後述します)。  ちなみに、共通テストの出題科目である地理歴史の「世界史A」「日本史A」「地理A」、および数学の「数学Ⅰ」「数学Ⅱ」に関しては受験自体可能ではあるものの、入試において判定基準として認められるケースはほとんどありません。したがって、受験科目として利用する場合には「世界史B」「日本史B」「地理B」「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B」を受験することになります。また、数学②の「簿記・会計」「情報関係基礎」に関して受験科目として認められない場合が大多数ではありますが、志望する学系によって認められるケースもあるため、各大学の情報を確認してみてください。

(2) 国公立大学の選抜方法

❶ 共通テストの科目選択パターン

 国公立大学受験における共通テストの入試科目では、多くの場合において5教科7~8科目の受験が義務付けられています。ただし、すべてに当てはまるわけではなく、国公立大学でも5教科7~8科目よりも少ない教科・科目で受験可能な場合があります。しかしながら、こうしたパターンはごく少数であるため、国公立大学を志望する受験生は基本的に5教科7~8科目での共通テスト受験が基本であると考えておきましょう。

 共通テストの科目選択のパターンは、理科と地歴公民を中心に理系と文系で異なっています。先ほど少し触れましたが、理系学部では「理科2科目必須」、文系学部では「地歴公民2科目必須」のパターンが一般的となっています。なお、外国語で英語を選択する場合は基本的に「リーディング」「リスニング」の両方が必答となっており、国語は特に指示がない限りは「現代文」「古文」「漢文」の全てが必答となります。下表に理系と文系それぞれの科目選択パターンを掲載しますので、参考にしてください。

❷ 二次試験の科目・方式

 多くの大学で共通テストでは5教科7~8科目が課されることになりますが、二次試験においては大学によって課される教科・科目はそれぞれです。基本的には、理系学部で「外国語・数学・理科」から2~3教科、文系学部で「外国語・数学・国語・地歴公民」から2~3教科が課されるパターンが多いものになりますが、一部の難関大学では4教科が課される場合もあります。

 また、同じ大学・学部であっても「前期日程」と「後期日程」で課される科目が異なる場合も多いため、注意が必要です。さらに、「後期日程」では「前期日程」に比べ、教科数を1~2教科に減らす場合や、総合問題・小論文・面接などを試験科目とするほか、「後期日程」の二次試験では個別試験を実施せずに共通テストの結果のみで合否を決定する大学もあります

❸ 配点について

 国公立大学の入試における配点は、大学によってかなり異なっています。共通テスト・二次試験ともに大学が独自に設定しているため、どの科目に重きを置くべきなのかなどについても良く考えなければなりません。本来ですと、共通テストを5教科7~8科目で受験した場合は900点満点となりますが、こちらを独自に換算して500点満点として扱う大学があるなど、様々です。

 さらに、共通テストと二次試験の配点比率にも注意が必要です。大学によって、共通テストの配点比重を高くしている場合もあれば、二次試験の配点比重を高く設定している場合もあり、大学によってかなり異なっています。加えて、同じ大学・学部であっても「前期日程」と「後期日程」で配点比率が異なる場合も多いのです。当然ではありますが、共通テストの配点比重が高ければ高いほど二次試験での逆転が難しく、二次試験の配点比重が高ければ高いほど、二次試験での逆転確率が上がるということになります。国公立大学を受験するにあたっては、共通テストと二次試験の配点比率も考慮したうえで、適切な受験勉強計画を立ててゆく必要があるのです。

 下表に例として埼玉大学経済学部と千葉大学法政経学部の配点比率をまとめてみました。大学によっての配点比率の違いと、「前期日程」「後期日程」の違いも見て取れます。

 両大学ともに、「前期日程」と「後期日程」では同じ大学・学部であるにもかかわらず、二次試験の配点が異なっていることがわかると考えます。さらに、両大学とも「前期日程」では科目別試験が課されている一方で、「後期日程」では小論文や総合問題が出題されており、日程による違いも見て取ることができます。そして、経済学部と法政経学部という同じ学系の学部で比較していますが、千葉大学と比較して埼玉大学は二次試験配点比率が低く、千葉大学は高めになっていることもわかります。このように、二次試験の試験内容や得点比率は大学によって大きく異なっていることから、より綿密に志望大学別の受験対策を立てることが重要になることが理解いただけると考えます。

2段階選抜について

 最後に、国公立大学の一般選抜では、注意しなければならない制度として「2段階選抜」、いわゆる「足切り」の制度があります。2段階選抜とは、第1次選抜として共通テストの成績を用いて二次試験の受験者を事前に選抜する制度で、第1次選抜を通過した受験生のみが二次試験(第2次選抜)を受験する資格が得られることになるのです。

 2段階選抜の実施の有無やその方法については各大学に委ねられており、2段階選抜を行う多数の大学では「志願者が募集人員の◯倍を上回った場合、第1段階選抜を実施する」といった方法となっています。すなわち、志願者数の状況によって第1段階選抜の有無が決まる形式になっていることから、実際に2段階選抜が実施されるのは、多くの志願者が集まりやすい難関大学や医学科が多いのです。このことから、2段階選抜の実施を予定している大学では、共通テストの結果と志願者数によっては出願をしたとしても第一次選抜の段階で不合格となる可能性もあるため、こうした大学を志望する受験生は特に共通テストで確実に得点できる力つけておくことが重要となります。ちなみに、2022年度入試の場合は、国公立大学の前期日程では64大学168学部で実施すると予告されましたが、実際に2段階選抜を行ったのは29大学48学部でした。

おわりに.

 本稿では、国公立大学の一般選抜について解説を行ってきました。このように、国公立大学の受験は共通テストと二次試験の二段階で試験が行われるだけではなく、共通テストでは5教科7~8科目が課されるなど、かなりの勉強時間と量をこなさなければ合格水準には満たしません。また、二次試験を終えて合格発表がされるのは3月に入ってからになるため、長丁場の受験期間を最後まで戦い抜く精神力も必要となります。

 しかしながら、国公立大学に見事に合格し、入学することが出来れば、私立大学に比べて学費の負担も少なく、研究設備が充実しているなど、魅力的な部分がたくさんあります。このような多くの困難を乗り越える覚悟を持てるならば、国公立大学受験にチャレンジして良いのではないでしょうか。本稿が、これから受験生となる皆さんにとって、志望校を考えるきっかけになれば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました