はじめに
今月の高校受験通信では、「高校入試の仕組み[公立高校][私立高校]」をご説明いたします。 埼玉県の公立高校入試の特徴は何といっても、中学1年生の成績から高校入試の合否判定資料になるということです。
私立高校の受験システムも特殊です。 私立高校入試に際しては、保護者も一緒に参加する必要のある個別相談会がございます。
保護者の皆様も高校入試の仕組みを把握した状態で、お子様の指導を行うことが出来ればより効果的かと思われます。ぜひ、この高校受験通信は、中3のみならず中1・2のお子様をもつ保護者の方にもご覧いただければと存じます。
公立高校入試について
内申書って何ですか?

内申書とは、1年1学期の通知表から3年2学期までの通知表をまとめた資料のことをいいます。中学校の先生が作成して、受験する高校に提出されます。合否判定において、学力試験の得点に匹敵するほどのウェイトを占める重要資料として使用されます。
内申書は以下の1~6の数値が記載されています。
- 各教科の学習の記録
高校によっては1・2・3年の成績を1:1:1で評価、つまり各学年平等に見る高校や、1:2:3や1:1:3のように3年生重視で評価する高校(これが多い)など、各高校によって違うので、自分の受ける高校がどういう評価方法かを知っておく必要があります。 - 総合的な学習の時間の記録
3年の1・2学期を中心に、学習の状況や成果などについての評価等を、簡潔に文章で記述します。 - 特別活動の記録
生徒会活動・委員会活動・学校行事活動・部活動etc. 中学校生活で頑張ったことが記載されます。ここにいっぱい書き込みがされる生徒とそうでない生徒の差が激しいです。中学校の諸活動には積極的に参加していきましょう。 - 出欠の記録
1・2年および3年2学期までの欠席日数を記入します。各学年ごとの欠席日数の合計が10日以上のものについては、その主な理由を記入します。 - その他
学校生活以外での活動で、特に参考となる事項がある場合、記入します。具体的には各種検定試験・各種ボランティア・感想文や絵画、硬筆展等の入賞・部活動以外の運動成果などが書かれるようです。
高校はどのように、内申書を合否判定に使用するのですか?

I. 学習の記録の得点
1年生の学習の記録の得点が「27」、2年生が「30」、3年生が「32」だったとします。
高校ごとに学年ごとの評定値の比率が設定されており、例えば、1年:2年:3年の比率が「1:1:3」の場合、評定値合計は「153」になります。
Ⅱ. 特別活動等の記録の得点
高校ごとに得点基準は異なりますが、その基準は公表されておりません。だいたい以下で加点されている様子です。

Ⅲ. その他の項目の得点
- 英検3級
- 漢検3級
- 数検3級
などの各種資格が加点要素となります。「皆勤賞」もここに含まれるようです。高校ごとに様々な評価をこの項目で加点します。
これらⅠ~Ⅲを合計した点数のことを内申点と言います。
係数を掛け算して入試の得点となる
各高校は、学校別に定められた係数をこの内申点にかけることで、入試で使用される配点に換算します。
高校は内申点の比重をコントロールすることができるのです。つまり「学力検査」を重視するか、「内申点」を重視するか、学校側が決めることができるのです。
また、この係数は段階ごとに変更することもできます。合格者の上位70%までは係数を0.9(学力検査重視)とし、残り30%は係数を1.8(内申点重視)というように係数を変えることができるのです。
入試自体は当然3月初旬に行われる1回のみですが、このように係数を2つ設定することで判定基準を2段階に分けて選抜し、それらをそれぞれ第1次選抜・第2次選抜といいます。学校によっては係数を3つ設定し第3次選抜まで行う高校もあります。
私立高校入試について
私立高校の大まかな合格基準[一部]

埼玉県の私立高校は、上記のように偏差値と通知表評定値にて合格の基準を設けております。 単願と併願では基準が異なります。単願の方が基準は下がります。
単願 … 合格したら必ずその学校に入学する
併願 … 合格してもその学校への入学を拒否する権利をもつ
[確約]とは?
合格基準をクリアしていれば、事前に合格の約束(『確約』と一般的に呼ばれます)が出ます。確約をもらうことが出来れば、当日の試験は限りなく形式に近いものになり、よっぽどのことが無い限りは不合格になることはありません。
基準をクリアしているかどうかは、9月から12月に行われる個別相談会に親子で参加して高校に確認してもらいます。個別相談会には、中学3年1学期 or 2学期の通知表・北辰テストの成績表・その他検定などの証明書を持っていきます。
判定される偏差値は北辰テスト上位2回平均です。高校ごとに「3年北辰4月から or 7月から or 9月から」と異なります。上位2回の平均ということは、北辰テストを一回でも多く受験したほうが、良い成績を獲得できるチャンスが広がるといえるでしょう。
通知表評定値は3年1学期の結果です。1学期数値が基準に達していない場合は、12月下旬の個別相談にて2学期の結果を見てもらうことも可能です。
確約を取らずに受験することも可能ですが、別枠での受験方法となってしまいます。そうなると、合格難易度が一気に上がってしまいますのでお勧めできません。
このような、個別相談会にて確約をもらうというシステムは埼玉県私立高校独自のスタイルなのですが、以下の高校はこのスタイルを採用していません。受験当日の得点勝負になるのです。
・慶應義塾志木高等学校
・早稲田大学本庄高等学院
・立教新座高等学校
・秀明英光高等学校
【補足】
「確約」という表現は、隠語表現のようなもので、個別相談会において高校の先生が使用することはほとんどありません。
代わりに使う言葉は、「合格圏」「安全圏」「80%合格」「◎」など学校によって表現は様々です。不安な場合は、ウィルにお問い合わせください。
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