「暗記の仕方がわからない」
→相談が多い質問です。
「暗記の仕方がわからない。」 今月はこの質問の回答になっています。当然「暗記とは量をこなすこと」であることは間違いないのですが、この教室通信では「どうすれば速く永く暗記できるのか?」にスポットをあててみます。
漢字の覚え方
実は、皆さん暗記したはずのものを忘れてしまうのは、「覚えなくてもいいことまで覚えるから、全て忘れてしまう。」のです。
記憶すべき対象の大半は、目に映った瞬間に記憶が出来ているのです。ただ、思い出すときに、思い出す「きっかけ」がないから思い出せないのです。記憶を効率良くするためには、その思い出す「きっかけ」だけを正確に覚えることです。ですから、「もっとも思い出しにくいもの の み を正確に記憶すれば、残りの知識も一緒に出てくる。」ということなのです。それが全ての記憶の根本的なコツです。
たとえば、「太鼓」という漢字を覚えるとします。普通の覚え方で記憶する箇所は当然全体になるわけですが、全て覚えようとするので覚えることが多く、忘れてしまうのです。もし、「太鼓」の「鼓」の「士」の部分だけ覚えるならどうでしょうか。これだけなら忘れないのではないですか。試しに「士」に○をつけて、隠してから書き出してみて下さい。
このように暗記のコツとは「その漢字を思い出すためのきっかけとなる一部分のみ」を意識的にきっちり覚えることなのです。
それでは、大人でも書けない漢字を覚えましょう。たとえば「菩提樹」という漢字を覚えてみましょう。「菩提樹」の構造は、「菩」の草かんむり、かんむりの下が「立」に「口」。そして、「提」の手へん、右に「是」、「樹」は木へん、真ん中が「喜」の下の口がない形、右が「寸」、と記憶すべき個所は多くあります。これでは、何度も書いてもなかなか覚えられないし、覚えてもすぐに忘れてしまいますね。何か所も覚えるよりも、一か所だけ覚える方が楽だし、ずっと覚えやすいのは当たり前です。そして、繰り返し何回も書くより一回も練習が気をしない方が楽です。
その当たり前のことをしましょう。つまり、漢字を覚えるのに、一か所だけしか覚えないのです。 「菩提樹」で一番思い出しにくいのは、草かんむりの下の「立」の下が「音」のように「日」ではなく「口」というところです。その一か所だけを思えます。そのために、「音ではなく、口だよ」と言って覚えます。その一か所だけに○印をつけます。手で○をつけることによって、自動的に集中力が発揮できるからです。では「菩提樹」の内の「菩」の「口」にだけ○をつけ、「音ではなく口」と言ってみて下さい。
あとは、逆に「覚えない」のです。他の部分も細かく覚えようとすると、覚えるものが多くなり、正確に漢字が出てきません。本来、人間の能力は、一度目にしたものは早々忘れないのです。それを信じて下さい。そして、字を隠して、漢字がはっきりと書けるか書けないか、確認してみて下さい。不思議なことに、書けるようになっていると思います。
英単語の覚え方
次は、英語のスペルの覚え方に挑戦しましょう。暗記の仕方は簡単で、一口で言えば
「発音とスペルを○の記号で合わせ、スペルを隠して発音を口で表現しながら、それに合わせてスペルを書いていく」
これだけです。単語の意味は、スペルを覚えてから、意味に○をつけ、意味が難しいものは一度手で書き出します。miracleなら「奇跡」と書き出して下さい。
この記憶法では、何を「理解する」のでしょうか?『どの発音に対して、どのスペルが対応するのか』を理解するのです。そして、それを○をつけて合わせることで、自動的に集中できます。どんな単語でも同じです。発音の一音ごとに対応するスペルの文字に○をつけて合わせます。
まず以下をノートに書き出します。
『 miracle ミラクル 奇跡 』
「ミ」に○、それに対応するスペル「mi」に○
「ラ」に○、それに対応するスペル「ra」に○
「ク」に○、それに対応するスペル「c」に○
「ル」に○、それに対応するスペル「le」に○
○をつけ終わったら、スペルを手で隠し、口でミラクルと言いながら、「ミ」と言ったら「mi」のスペルを、「ラ」と言ったら「ra」を書いていきます。スペルが書けましたら、意味の「奇跡」に○をつけます。この方法で覚えていくと始めてみるスペルもほぼ正確に発音できるようになりますし、発音さえ分かっていれば検討をつけてスペルを書けるようになるのです。
【覚えにくい単語の場合】
『 Wednesday ウェンズデイ 水曜日 』
「ウェン」に○、「Wedn」に○
「ズ」に○、「es」に○
「デイ」に○、「day」に○
この場合のdのように、黙字(発音しない文字)が入っている場合、暗記がしづらいです。その場合、dにも○をつけて、テスト前もそこだけ見直します。 ○のつけ方は、自己流で結構です。語彙が豊富になればなるほどより正確に○がつけられるようになるのですが、この場合の○のつけ方は不正確でも問題はないのです。
さぁ、実践してみましょう!