中学校で伸びる子の特徴
- 小学生のころに読み聞かせをしてもらっていた子
- 「早寝早起き朝ごはん」の生活習慣がしっかりできている子
- 友だちとたくさんの遊びを経験した子・スポーツをしていた子
- 時間の使い方が上手な子
- 休日をダラダラ過ごさない子
⇒ 親は子どもの生活リズムを整え、子どもが「自学自習」できる環境づくりを!
小学生のころに読み聞かせをしてもらっていた子
読み聞かせの効力
中学校で伸びている子のお母さん方に話を聞いてみると、たいてい小学生のころ、読み聞かせをしていたとおっしゃるケースが多いのです。
有名私立中学に合格した子のお母さん方へのアンケートでも、「よく読み聞かせをしていた本は何か」という項目が最近目立ちます。子どもの好きな本を毎晩読んでやることがさまざまな面で非常に効果的であることが分かっています。 高学年でも一向にかまいません。本を読みなさい、という前に一緒に親子の読書タイムをつくりましょう。低学年のご兄弟がいるご家庭ではすぐに始めてみてください。
生活習慣がしっかりできている子
朝食と睡眠の効力
毎朝朝食をとっている子とそうでない子の学力差があることは、すでにはっきりしています。睡眠時間は1.5時間の倍数が良いとかいろいろ言われていますが、睡眠サイクルには個人差が大きいのも事実。早起きさせるには早く寝せることですが、夜更かしが続く子は、まず休日も同じ時間に起こすこと。早く起こせば早く寝ます。小学校時代は8時間は確保しましょう。
友達とたくさんの遊びを経験した子・スポーツをしていた子
スポーツの効力
スポーツはやっておくにこしたことはありません。小学生の間は友達と外遊びをたくさんさせましょう。スポーツ好きな子はたいてい成績もよく、脳の発達を促す効果があります。高校受験を目前に控えた子どもを見ていて思うのは、やはりスポーツをやっていた子は最後まであきらめない粘り強さ・忍耐力があります。受験前の中だるみもあまり見かけません。 また好きなスポーツをやめたくないので勉強との両立を考え、時間を上手く使えるようになります。親に言われて勉強だけやってきた子は、はっきり言って「ふんばり」がききません。
時間の使い方が上手な子
家庭学習時間の目安
家庭学習時間の目安は学年×20分と覚えておきましょう。1年生は20分、6年生は120分の2時間というように。ただ、これも子どもの集中力によって差が出てきます。
家庭学習では、その日の学校の宿題や単純な計算問題・漢字の書き取りといった負担の少ないものから始めることがポイントです。なんだか調子が出てきたからもう少しやってみようか、という気分になります。
また学校から帰ってきたばかりは疲れているので、高学年の子は夕飯前の1時間は宿題やドリルものなど・夕飯とお風呂で休憩した後の1時間は重めの課題をこなすなど、工夫が必要になってきます
食事・睡眠・運動で生活の土台を
食事・睡眠・運動でバランスのとれた健康な生活の土台を作り、それを維持していくことはシンプルに見えますが、そういう日々の単純なことほど、本当の意味で自分のものとするのは難しいものです。大人でも、「週末くらいいいか、自分たちものんびりしたいしダラダラ過ごしたい」となりますよね。
しかし親がそうだと子どもも、そうです。毎週末ダラダラした生活は、週明けに持ち越します。習慣とは日々の積み重ねであって、平日限定で身につくものではないのです。
休日をだらだら過ごさない子
休日の過ごし方
大企業の社長の休日の過ごし方、という特集でタイムスケジュールを見たことがありますが、昼近くまで寝ているなんてもってのほかで、そんな方は一人もいませんでした。平日と同じ時間に起床し、意識的にスポーツをされている方が圧倒的に多い。体力づくりも仕事のうちなのだそうです。体を動かすと、それまでモヤモヤ考えて結論の出なかったことが急に解決したり、いつもは考えもつかないようなアイデアが浮かんでくる、といったことも共通していました。休日の過ごし方って大切なんですね。これはきっと子どもも一緒だろうと思います。
生活リズムの乱れは健康の乱れ・学習の乱れ。何をやっても上手くいかなくなります。こういった生活の土台は、まさに親が子に伝えていくべきものです。
「よく食べ、よく眠り、よく動く」 生活の基本ですが、もう一度見直してみませんか?
中学校でつまずく子の特徴
- 「読み書き計算」の基礎がついていない子
- 生活の基盤が出来ていない子
- 親の言うなりで動いてきた子
「読み書き計算」の基礎がついていない子
読み書きは正確さとスピード
中学校でつまずく子は、例外なく小学校時代に習うべき基礎力がついていません。小学校での漢字の読み書きが出来ていなければ教科書を理解するのにも一苦労です。
「中臣 鎌足」なかとみのかまたり を読めずに立ち止まっていては歴史を勉強するどころではありません。小学校で習う漢字は、全てスラスラと読み書きできるのが基本です。
数学であれば連立方程式・代入・因数分解などは四則計算がパッパッとできないと動きが取れなくなります。
小学校では正解すれば良し、とするところがありますが、中学校での学習において、読み書き能力は、正確さとスピード両方がついていないとモノになりません。小学校の時はあんなにできたのに・・・という子の場合でも、丁寧に時間をかけてゆっくりやればできるけれど、ちょっと複雑な問題が多い時間制限のあるテストでは、あせってミスを多発し、点が半分もとれない、という子も実際多くいます。
今でこそ百ます計算が注目されて、数多くの問題を決められた時間内にこなすトレーニングが確立されてきましたが、読み書きは正確さとスピード、これが命です。
算数のつまずきの山
苦手とする子の多い算数には山があり、まず最初の山は、3年生の2学期のわり算です。ここでつまずいた子は、2年生の九九や、くり下がりが出来ていません。もう1つの山は、4年生の分数と5年生の小数です。抽象的な数字になり、あやふやなままだと計算が遅くなって、計算ミスが増えます。これは必ず中学数学までひきずります。
苦手意識のある分野は、徹底的に数をこなし、スピードある計算ができるまでやりつくす事です。答えが合えばいいわけではなく、計算は「正確さ」と「スピード」!ていねいにやっているだけではダメです。計算の途中式は消さずにおくこと。やり直しが楽で、「自分がどこを間違いやすいか」が良く分かりますよ。
算数の文章題克服法
算数の文章題が苦手な子には、パターン別のドリルがおすすめです。1ページに同じ種類の計算式を使った文章題が並んでいるものがおすすめです。単純な計算ドリルは子どもと書店に行き、子ども自身に選ばせても良いですが、文章題のドリルは親も確認したうえで購入したほうが良いと思います。
もともと文章題が嫌いな子に、見開きページにいろんなジャンルの混ざった計算式を使わなければならないようなミックス文章問題ものは、まず解けません。 慣れてきて問題文も読まずに「これは割り算を使うんでしょう?」などと言ってきたら、お母さんがそのとき初めて、ノートに別にランダムに問題を数問写し、やってごらんといえばいいのです。
生活の基盤が出来ていない子
生活習慣がしっかりしている子はテストの点もよく、逆にできていない子はテストの点も悪いことは、「中学で伸びる子の特徴」で詳しく説明させていただきましたので、ここでは省きます。
親の言うなりで動いてきた子
特に男の子のお母さんに多くみられる(小学生のうちは女の子の方がしっかりしているため)のですが、子どもが失敗しないように全てお膳立てしてしまうのは考え物です。忘れ物をしないように高学年になっても親が準備をしていたり、子どもの悪さを全て他の子や先生のせいにして文句を言ったり。ちなみに子どもの前で学校の先生のことを悪く言うのは絶対にタブーです。大人を信用しなくなり、学級崩壊につながります。
全ての決定権は母親にあり、口やかましく指示ばかりしていると、子どもは親の顔色をうかがうようになり、自分から考えることが出来ずに何でも親に頼るようになり、親のいないところで悪さをするようになります。
直してほしいことを上手に伝えるコツは、アイメッセージ。
A「早く帰ってきなさいよ!」
B「帰ってくるのが遅いと、お母さんは心配なのよ」
Aはユー(あなた)メッセージ。「あなたは・・」を主語にした言い方です。
Bはアイ(わたし)メ ッセージ。「わたしは・・」を主語にした言い方です。
どうでしょう?同じ内容なのに感じ方が全く変わります。ユーメッセージは相手を非難した感じが強まります。逆にアイメッセージは自分の気持ちに重点がおかれます。アイメッセージという考え方はアメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士の著書で世界的に有名になりましたが、子どもにかける言葉がけとして非常に役立ちます。子どもが素直に親の言葉に耳を傾け、親に心配させないように考える力を育みます。しかる回数もぐっと減ります。ぜひ試してみてください。
今は大学の教務課に「うちの子が今日は休講だと言って家にいるが本当だろうか」「黒板の字が見えにくいらしいので善処してくれ」「留年する前になぜ親に知らせないんだ」など、様々な苦情が寄せられているとか。親がその場にいなくても、自分で正しく考えて行動できるように育てるのが、親の役目であると思います。自分で考える力というのは、学力の根っこの部分でかなり大きく占める割合であって、土台がしっかりしていないと大きな建物はたちません。しかもこの土台は思春期真っ盛りの中学時代につくろうと思っても無理があるのです。多少難しくはなってくる小学高学年ですが、時間的にまだ子どもにも余裕のある小学時代にぜひ、この土台をつくっておきたいものです。
これって理想像?子どもに求める2つの力
文部科学省は、次の時代の子どもたちに求める『生きる力』として、
「自己責任を果たし、他者と切磋琢磨しつつ一定の役割を果たすために、基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を見出し、解決するための思考力・判断力・表現力が必要である。しかも、知識・技能は、陳腐化しないよう常に更新する必要がある。同時に、『共存・協力』も必要である。自己との対話を重ねつつ、他者や社会、自然や環境とともに生きる、積極的な『開かれた個』であること」
が求められるとしています。
上記を大別すると『生きる力』と『主要能力』の2つの力に別れます。
『生きる力』とは、
・基礎的・基本的な知識・技能の習得
・学習意欲
・自立的に行動する能力
『主要能力』とは、
・基礎技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等
・多様な社会グループにおける人間関係形成能力
・社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する力
これらの能力がわが子にも備わって欲しいと思いますが、あまりにも漠然とし すぎていて何から手を付けていいのか、何をやればいいのか・・・。しかし、『生きる力』は普段の家庭・学校生活の中で毎日の生活を通して身につけていって欲しいと思います。
また、『主要能力』については、子どもが新しいことに挑戦する時、人間関係に悩んでたり、問題に直面したり、壁にぶち当たったりした時に、何らかの形で身につけていって欲しいものです。その時にいい方向に向かうように何かしら支えてあげるのが、親や学校、地域の役割だと思います。