【9月 教育支援通信】
読書のススメ

なぜ、大人は子どもに「本を読め」と繰り返し勧めるのか?

 今まで君たちは「本を読みなさい。」「読書ほど大切なことはないよ。」などと、いうセリフを何回も聞いたことがあると思います。それでは何故、周囲の大人は子どもに対して本を読むことを勧めるのでしょうか?
 
 それは単純に食べ物と同じで、食べないと精神が貧弱になるからなのです。大人はそれを体感して知っているのです。食事をしっかりとることによって肉体が作られていくのと同様に、精神を作るためには読書が必要なのです。精神は「知識(教養)・経験(体験)」の2本柱で形作られると私は考えます。読書は、その2本柱にとって欠かせない栄養素のようなものなのです。

ここでいわれる精神とは『思考力と問題解決能力』のこと

 この通信で「精神」という言葉を多用しますが、ここで言われる精神とは、単純に「人間のこころ」という意味ではなく「経験や知識をもとにあれこれ考える心の働き(つまり思考力)・問題を解決しようとする心の働き(つまり問題解決能力)」という意味で使われていると解釈をして下さい。

 これから、キミたちは人生において多くの困難にぶつかります。

  • 進路に関する困難・対人関係などの困難・仕事における困難etc.
  • さらに君たちは人生において、決断を迫られる多くの場面に出くわすでしょう。
    様々な物事の善悪を見極めてそれについての自分の考えや行動を定めなければなりません。
  • または、緊急の事態に遭遇するかもしれません。犯罪に巻き込まれたりすることだって、対岸の火事では決してありません。
  • 思考停止状態の人生はありえません。さまざまな場面で、新しい発想を生み出さなければならない時もあるでしょう。

精神を形づくるもの

精神を形づくるものは「知識」と「経験」です

 精神を形づくるためには、第一に「知識」が必要となります。みんなは今一生懸命やっている勉強に対して、「歴史なんて意味ねー。」「数学なんておつり計算が出来ればあとは意味ねー。」という言葉をよく言いますよね。

 これは「何故、勉強をするのですか?」という質問の答えの1つにもなるのですが、「知識」を溜め込むということは、問題解決能力の向上・意思疎通能力の向上に直接的につながります

 一見無駄と思われる知識でも、そのようなものを少しずつ少しずつ蓄積させていく…、いわば自らの「精神の泉」に一滴一滴水を入れていくことを続けていけば、大人となったときに素晴らしく深い精神の泉を自らの中に形成することが出来るでしょう。その深い精神の泉に蓄えられたモノが、問題解決の様々な場面・議論・意思疎通の助けになるのです(だから勉強におけるムダ知識なんて無いんだよ)。

 そして、その精神の泉を構成する知識には種類があります。それは「学業によって身につける知識」と、「経験に裏づけされた知識」です。いわゆる「がり勉クン」といって馬鹿にされる類の人たちは、学業によって身につける知識に偏っている人たちのことです。

 もちろん、経験の充実により満たされる知識のみに偏るのもよくありません。人間が一生の間で経験できることはせいぜい限られているのですから。残念ながら、経験だけでは精神の泉は(ある程度までしか)深まりません。

 知識と経験がブレンドされた泉が必要なのです。

 読書は「知識を深めること」と「疑似体験による経験値獲得のための最良の方法」である

精神(思考力・問題解決能力)的な向上のためには「知識と経験」の両方面からのアプローチが必要となると書きましたが、読書がその最良の方法であると思いませんか?

 読書することにより、語彙も豊富になりますし思考しながら読むことで思考力も身につきます。新しいことも学びます。このように読書は「知識を深めることに直結している」ということは確かです。それに加えてさらに、読書によって我々は様々な疑似体験による経験値も獲得しているのです。

 読書は、キミたちの知らない世界を教えてくれます。これからキミたちが経験するであろう世界、たとえば、恋愛の世界がどうなっているのか、どうやってその中で生きていけばよいかだって読書は教えてくれるんです。さらに、その仮想世界での疑似体験によって、実際のキミたちの体験をより一層芳醇なものにしてくれます

 私なんかは歴史小説が好きなので、それを読むことによって戦国時代や明治維新などにタイムトラベルしている疑似体験をしています。また、歴史小説には人生のモデルとなるような魅力的な人物がたくさん出てきます。そのような人たちが、間近にいるような体験が出来るのですよ。

 えっ?映画やテレビだって知識を深めたり、疑似体験させてくれるだろって?

 いやいや、比べ物にならないんですよ。映画やテレビは、読書にはね。だって、何十時間もかけて読む内容を映画は2時間足らずで表現していますよね。それだけだって大きな差なのに、読書は全て場面を自分の頭のキャンパスに描くことが出来るのですよ。想像力という素晴らしいスパイスのふりかかった疑似体験が出来るのです。

読書は人生を豊かにする力を与えてくれるのです

 こうして、知識を深め経験を充実させるという大切なことの援護射撃を読書はしてくれるのです。読書によって得られた知識と経験が精神(思考力・問題解決能力)を強靭なものにし、その精神が幾多の困難に立ち向かい乗り切る力となり、人生を豊かにするというわけなのです。

 どうか皆さんが一生の友人となりうる良書[座右の書]に出会うことができますように!

  • 良書をはじめて読むときには、新しい友を得たようである。前に精読した書物を読みなおす時には、旧友に会うのと似ている。(ゴールドスミス)
  • 書物は青年時代における道案内である。(コリアー)
  • すべて良き書物を読むことは、過去の最もすぐれた人々と会話をかわすようなものである。(デカルト)
  • 書物を読むということは、他人が辛苦してなしとげたことを、容易に自分に取り入れて自己改善をする最良の方法である。(ソクラテス)