【6月 大学受験通信 】
数学勉強法

この科目を勉強する前に

 数学はほとんどの受験生に必須の最重要科目である。数学を大きな壁と感じる生徒は多い。しかし、この勉強法に則って学習を進めていけば、合格点獲得はもちろん、最大の得点源にすることまで可能だ

 数学の特徴として、英語や国語と比較し、分野がはっきりと分かれていることが挙げられる。すべての分野を完璧にせずともある程度の得点が出来、はっきりとした苦手分野は重点的に学習し克服することで対策することができる。暗記事項が少ないことも鑑みれば、短時間の勉強で大きく点数を上げることが可能な科目と言える。

数学の主な勉強法は2つあり、詳しくは後述するが1つは「解法を暗記する」、もう1つは「じっくり考える」というものである。どちらに適性があるかは生徒によって異なる。

 前者は英語や社会のような暗記科目が得意な生徒向けの勉強法、後者は数学が比較的得意な生徒、あるいは考えることが得意な生徒向けの勉強法である。自身の適性に応じて勉強法を選択してほしい。

 もちろん現時点では判断がつかないという生徒は、実際に学習する過程で適性を判断してよい。2つの勉強法に優劣は存在せず、自分に合った勉強法で学習することが最も大切なので、ムリなく学習が行えるほうを選択するとよいだろう。

勉強法(1)解法を暗記するやり方

 数学と聞いて、発想力・応用力・センスを連想し、どうしても敬遠してしまう生徒は多い。しかし実際には、きちんと公式と解法を暗記し演習を繰り返せば、誰でも高得点を獲得することが出来る

 それは受験数学で出題される問題には必ず答えがあり、教科書で学ぶ範囲の中で絶対に解答を導きだすことができるように問題が作られているからだ。この事実を踏まえれば、数学力を延ばすためには、解法の暗記が最も有効な手立てであると言っても過言ではない。

 もちろん解法を暗記するといっても、ただやみくもに暗記するわけではない。公式や解法のパターンを、それを導き出す理論まで理解したうえで暗記する。そして演習を積み重ねる過程で、どういう問題にはどういう解法・公式を用いたらよいのかを取捨選択する材料を得る。このサイクルを繰り返せば、いずれどんな問題にも対応できるようになるだろう。

 志望校で記述式の問題が出題される生徒は、しっかりと解答の書き方まで覚えよう。試験で問われるのは数学力ではなく、解答力だということを忘れてはいけない。

勉強法(2)じっくり考えるやり方

 数学勉強法のもう1つの選択肢として、1問1問腰を据えてじっくり考えて取り組むという方法がある。昔から数学や算数など数字を扱うのが得意な生徒や、問題に対して試行錯誤して取り組むのが好きな生徒はぜひこの勉強法を試してほしい。

 まずは、勉強法(1)と同じく、基本的な数学の公式と解法、各分野の頻出問題の解法を覚える。どんな問題でも、基本的な解法を身につけていなければ解答することはできないので、このプロセスは絶対に怠らないこと。

次に最難関大の頻出問題や典型問題にじっくり時間をかけて取り組んでいく。数分考えて解法の分からない問題でも、1時間単位で試行錯誤して解法を探す。この諦めず粘り強く問題に向き合う過程で、数学力は大きく向上するだろう。

 1問にかかる時間は長くなるが、解いた問題数が増えるごとに回答までの時間は短くなっていく。焦らずじっくり取り組んでほしい。

 最難関大では一見しただけでは解法の方針さえ立たないような難問がしばしば出題される。入試本番の限られた時間の中でそうした難問の解答を導くには、いかに短時間で解法を見つけ出せるかがカギとなる。不断の学習で試行錯誤した分だけ、そうした解法の発掘力が磨かれるのだ。

具体的な勉強法

数学に苦手意識が強い場合

  • 『やさしい高校数学(数学Ⅰ・A)』(Gakken)
    『やさしい高校数学(数学Ⅱ・B)』(Gakken)
    『やさしい高校数学(数学Ⅲ)』(Gakken)
  • 『中1数学をひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『中2数学をひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『中3数学をひとつひとつわかりやすく』(学研)
  • 『高校数学Ⅰをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Aをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Ⅱをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Bをひとつひとつわかりやすく』(学研)

 数学に苦手意識が強いという生徒は、まず❸から始めるようにする。基本的な公式や簡単な問題を中心に収録しており、数学が苦手な生徒でも手の付けやすい参考書となっている。

 この内容を理解するのが難しい場合は、❷で中学レベルに立ち返って基礎固めをしよう。中学レベルまで戻るのは多少抵抗感があるかもしれないが、❷の内容を理解していないと成績が伸びないので、少しでも不安がある場合は取り組むようにしよう。

 「学校の授業などで何となくは理解している」という生徒は、❶に取り組む。❸と同様、各分野において絶対に必要となる考え方を扱っているので、疑問点を残さないようにすること。苦手な単元は何周も取り組もう。

大東亜帝国の合格点突破

  • 『やさしい高校数学(数学Ⅰ・A)』(Gakken)
    『やさしい高校数学(数学Ⅱ・B)』(Gakken)
    『やさしい高校数学(数学Ⅲ)』(Gakken)
  • 『高校数学Ⅰをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Aをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Ⅱをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Bをひとつひとつわかりやすく』(学研)
  • 白チャート
    『新課程 チャート式 基礎と演習 数学Ⅰ+A』(数研出版)
    『新課程 チャート式 基礎と演習 数学Ⅱ+B』(数研出版)
    『新課程 チャート式 基礎と演習 数学Ⅲ』(数研出版)

このレベルの大学を目指す生徒は、まずは➊または❷で基本事項のインプットをしてほしい。内容を完璧に理解出来たら❸白チャートの「基礎問題とEX」で問題演習をしよう。分量が多く時間がかかるかもしれないが、大東亜帝国の問題であればこれをこなすだけで十分に得点することが出来るため、焦らずじっくり取り組もう。基本的には白チャートの「基礎問題とEX」より上のレベルの参考書に手を出す必要はなく、このレベルの問題を確実に解けるように時間のある限り繰り返していくのがよい。

日東駒専・産近甲龍の合格点突破

  • 基礎問題精講
    『数学Ⅰ・A 基礎問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅱ・B 基礎問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅲ 基礎問題精講』(旺文社)
  • 標準問題精講
    『数学Ⅰ・A 標準問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅱ・B 標準問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅲ 標準問題精講』(旺文社)
  • 黄チャート
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅰ+A』(数研出版)
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅱ+B』(数研出版)
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅲ』(数研出版)

日東駒専の下位~中位校を目指す生徒で、現時点での学力に不安がある生徒はまず白チャートの「基礎問題とEX」を解き進めよう。

基本が身についている場合は、❶または❸黄チャートの「例題とPRACTICE」を解けば十分問題に対応できる。黄チャートは問題量が多く、すべて解き終えれば安定した実力が付くが、かなり時間がかかってしまうため、時間がない場合は❶に取り組みたい。自分の現状や好みに合わせてどちらを解くか決めよう。

日東駒専の上位学部を目指す生徒は❶または❸を終えたならば、❷にも挑戦してみよう。

GMARCH・関関同立の合格点突破

  • 黄チャート
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅰ+A』(数研出版)
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅱ+B』(数研出版)
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅲ』(数研出版)
  • 青チャート
    『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A』(数研出版)
    『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅱ+B』(数研出版)
    『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅲ』(数研出版)
  • 基礎問題精講
    『数学Ⅰ・A 基礎問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅱ・B 基礎問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅲ 基礎問題精講』(旺文社)
  • 標準問題精講
    『数学Ⅰ・A 標準問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅱ・B 標準問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅲ 標準問題精講』(旺文社)

GMARCH・関関同立を目指している生徒は、日東駒専レベルの内容を理解したうえで❸を解こう。これを解いた後は❹に進むとよい。

黄チャートまたは青チャートを購入している場合、下位~中位校を目指しているなら黄チャートの「全問題」青チャート「基本例題と練習」を解き、上位校を目指すなら青チャート「全問題」を解くようにしたい。しかし、日東駒専の欄でも述べたように、一周するのに時間がかなりかかるので、基本的には❸→❹のルートをお勧めする。いずれのルートをとるにしろ、このレベルの大学を目標にするのならば、参考書を時間の許す限り周回しよう。

早慶上智・旧帝大2次の合格点突破

  • 『大学への数学 1対1対応の演習/数学Ⅰ』(東京出版)
  • 『大学への数学 1対1対応の演習/数学A』(東京出版)
  • 『大学への数学 1対1対応の演習/数学Ⅱ』(東京出版)
  • 『大学への数学 1対1対応の演習/数学B』(東京出版)
  • 『大学への数学 1対1対応の演習/数学Ⅲ(微積分編)』(東京出版)
  • 『大学への数学 1対1対応の演習/数学Ⅲ(曲線・複素数編)』(東京出版)

これらの最難関大学を目指す生徒は、標準問題精講または、青チャートまでの内容をしっかり理解したうえで、❶~❻に取り組もう。

本書は実際の入試問題の良問を集めた問題集であり、解き終えることでかなりの数学力を身につけることが出来る。難易度は高いが、標準問題精講までで学んだことの組み合わせで解けるのでじっくり取り組んでみてほしい。これも他の参考書と同様に、まず例題を解き解説を理解してから練習問題に取り掛かるようにする。

 最難関大の入試において合否を分けるのは難問ではなく、この❶~❻レベルの問題であるので、しっかり時間をとって3周することを目標に取り組もう。

大学入試共通テスト

  • 『やさしい高校数学(数学Ⅰ・A)』(Gakken)
    『やさしい高校数学(数学Ⅱ・B)』(Gakken)
    『やさしい高校数学(数学Ⅲ)』(Gakken)
  • 『高校数学Ⅰをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Aをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Ⅱをひとつひとつわかりやすく』(学研)
    『高校数学Bをひとつひとつわかりやすく』(学研)
  • 基礎問題精講
    『数学Ⅰ・A 基礎問題精講』(旺文社)
    『数学Ⅱ・B 基礎問題精講』(旺文社)
  • 白チャート
    『新課程 チャート式 基礎と演習 数学Ⅰ+A』(数研出版)
    『新課程 チャート式 基礎と演習 数学Ⅱ+B』(数研出版)
  • 黄チャート
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅰ+A』(数研出版)
    『新課程 チャート式 解法と演習 数学Ⅱ+B』(数研出版)
  • 『大学入試センター過去問レビュー数学』(河合出版)
    『マーク式総合問題集数学』(河合出版)

共通テストの受験対策としては、上記の参考書を使用していく。数学が苦手な生徒は、❶or❸を使い数学の基礎を身につけよう。具体的な使い方は「数学の苦手意識が強い場合」の欄を参照してほしい。

 すでにこれらの参考書の内容を理解している場合は、❸で共通テストレベルの問題を解こう。このとき、すでに白チャートか黄チャートを持っている場合は❸の代わりに使用しても構わないが、時間がかかってしまうので特に数学を共通テストでしか使わない場合などは❸を基本的に使うようにしよう。

 ここまでが終わったら、過去問演習に移行してほしい。過去問演習は❻を使い、本番を意識して行うこと。過去問題はセンター試験のものを使用すればよい。過去問を解くときは、時間配分を特に意識して演習しよう。このとき、昔の問題になると教育課程の変更などで現在は習わない範囲の問題も増えてくるので、現行の教育課程に含まれている問題のみを解くように気を付けてほしい。